成年後見の一般的諸費用

成年後見制度利用にかかる一般的諸費用について

行政書士吉田安之初めまして。行政書士の吉田安之と申します。
成年後見の法定後見申立てに一般的にかかる諸費用はどれくらいなのでしょうか?

東京家庭裁判所の発行している「成年後見申立ての手引き」によると諸費用は以下のように示されています。※各家裁によって費用は異なりますので以下は東京家裁の事例となります。)

費用 取寄先

収入印紙¥3400
(申立費用¥800、登記費用¥2600)
(保佐や補助で代理権や同意権付与の申立てをする場合はそれぞれ+¥800)

郵便局など
郵便切手¥4300
(内訳500円×4枚、100円×5枚、80円×20枚、10円×20枚)
郵便局など
鑑定費用(鑑定を行う場合は通常は、鑑定書付票に記載されている金額)※一般的に5〜10万円でお願いしている。主治医に関しては5万円程度でお願いを付票ではしている。 専門医、かかりつけ医など

以上の諸費用がかかりますので、鑑定が必要になった場合で、約6万円〜11万円程度の実費がかかってきます。また申立て業務を専門家に依頼するとその費用が別途かかることになります。この費用は、各事案によっても異なりますし、専門家の事務所によっても異なりますが、大体10万円前後が多いように思われます。

また法定後見は後見等開始の審判が確定しスタートしますが、後見人に専門職後見人(行政書士、弁護士、司法書士、社会福祉士など)がついた場合は、報酬付与の申立てによって家庭裁判所が報酬額を決定する審判を行い、報酬は本人の財産の中から支払われます。よって継続的にかかる報酬は家庭裁判所の審判によることになります。

■東京家庭裁判所が出している報酬の目安によれば
基 本 報 酬
(1) 成 年 後 見 人
成年後見人が,通常の後見事務を行った場合の報酬(これを「基本報酬」と呼びます)のめやすとなる額は ,月額2万円です。
ただし,管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には,財産管理事務が複雑,困難になる場合が多いので,管理財産額が1000万円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円〜4万円,管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円〜6万円とします。なお,保佐人,補助人も同様です。
(2)成年後見監督人
成年後見監督人が,通常の後見監督事務を行った場合の報酬(基本報酬)のめやすとなる額は,管理財産額が5000万円以下の場合には月額1万円〜2万円,管理財産額が5000万円を超える場合には月額2万5000円〜3万円とします。 なお,保佐監督人,補助監督人,任意後見監督人も同様です。
3 付加報酬
成年後見人等の後見等事務において,身上監護等に特別困難な事情があった場合には,上記基本報酬額 の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加するものとします。また,成年後見人等が,例えば,報酬付与申立事情説明書に記載されているような特別の行為をした場合には,相当額の報酬を付加することがあります(これらを「付加報酬」と呼びます。)
4 複数成年後見人等成年後見人等が複数の場合には,上記2及び3の報酬額を,分掌事務の内容に応じて,適宜の割合で按分します。

任意後見契約書の作成費用は?

■任意後見契約書の作成には以下の費用がかかります。

  1. 公証役場の手数料として1契約につき11,000円、それに証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます。
  2. 法務局に納める印紙代   2,600円
  3. 法務局への登記嘱託料   1,400円
  4. 書留郵便料         約540円
      なお、任意後見契約と併せて、通常の委任契約をも締結する場合には、その委任契約について、さらに上記1が必要になり、委任契約が有償のときは、1の額が増額される場合があります。
      また、受任者が複数になると(共同してのみ権限を行使できる場合は別として)、受任者の数だけ契約の数が増えることになり、その分だけ費用も増えることになります。

成年後見制度のご相談

・成年後見には、法定後見と任意後見が。法定後見には「後見・保佐・補助」の3類型があります。各制度はどのようなものか?お気軽にご相談ください。